バルコニーの無断改造の例

マンション住まいの欠点は増改築が難しいことにあります。  あと一部屋あったら悩みは解決するのに・・・  そこで、目をつけたのがバルコニーやベランダを部屋にする事です。  でも、バルコニーやベランダは、共用部分であり個人の専有部分ではありません。  個人がその用法(ベランダはベランダとして使用すること)に従って専用使用権を有しているだけです。  勝手に改造したり変更したりはできないのです。  この例は、勝手に変更した区分所有者を管理組合が「原状回復の請求」をして認められた裁判です。  バルコニー(ルーフテラス)におけるサンルームの建築は規約違反に当たり、撤去請求は認められる。 

〔京都地判 昭和63.6.16〕

事実の槻要 

マンションの区分所有者Yが、バルコニー(ルーフテラス)にサンルームを建築し、屋外空調機を専用使用権のない部分に移設したが、管理組合xの管理規約では、バルコニーは共用部分であり、専用使用が認められるものの、バルコニーに構造物等を設置したり、改造等をすることができない旨が定められていたため、xが構築物、屋外空調機の撤去を請求した。 本件では、バルコニーに構築物、屋外空調機を設置することが規約に違反するかどうかが問題になった。 

本判決は、Yの行為が規約に違反するとして、請求を認容した。 

(判決)は、「右認定の事実によると、被告らが本件サンルームを設置したルーフテラス部分は、規約上では何ら特別に明示の規定はないものの、専用使用権が認められた共用部分であり、その機能上からはバルコニーと同様の性格を有するもので、規約上はバルコニーの使用と同様の利用制限に服すべさものであると解するのが相当である。 そして、被告らの設置したサンルームが、右認定のとおりの構造である以上、ルーフテラスが非常時に果たす役割の重要性に照らし、本件マンション規約でその設置を禁止された構築物に該当するものであるというべきである。 また、被告らの移設した屋外空調機の設置場所は、被告らに専用使用権が認められていない共用部分であり、非常時において障害物となることは当然予測されるから、これも非常時における重要性に贈らし、本件マンション規約で遵守を義務づけられた目的に従った用法による使用に違反するものというべきである。 被告ら以外にもバルコニー等にブロックを設けて花壇として利用したり、簡易物置を設置したりしている居住者が存在することが認められるものの、それらはいずれも被告らの設置したサンルームと比較して規模も小さく、構造も異なるうえ、他の居住者に違反行為が認められるからといって被告らの正当性を裏付けるものでもなく、他に被告らの正当性を基礎づける事実を認めるに足りる証拠はない。」と判示している。